平成31年3月1日(金) 平成30年度卒業証書授与式 校長式辞
式 辞
遙照山の山並みにも、若々しい春の気配が満ちゆく今日の佳き日、岡山県教育委員会をはじめ多数の御来賓、そして保護者の皆様の御臨席を賜り、ここに、岡山県立鴨方高等学校、平成三十年度卒業証書授与式が、かくも盛大に挙行できますことを、卒業生はもとより、在校生、教職員一同、誠に光栄であり、心より御礼申し上げます。
ただ今、百二十五名の卒業生に対しまして、本校における学業を成就したことの証として、総合学科第二十一期生の栄えある卒業証書を授与いたしました。
皆さんは創立百十一年の歴史を誇る、伝統ある鴨方高等学校の名に恥じぬ成果を上げ、卒業の日を迎えられました。
卒業おめでとう。本校を代表して、心から祝福の意を表します。
また、保護者の皆様、本日はお子様の御卒業、誠におめでとうございます。心からお慶びを申し上げます。 さて、本日、晴れの日を迎えられた皆さんの胸中には、三年間の学校生活の一つ一つの場面が、様々な思いをもって蘇っていることでしょう。
皆さんは、「自分の生き方は自分で決める」という力を育むため、さまざまな体験や知識を重ね、特に、山環学プロジェクトにおいては、地域の方々との交流やボランティア活動、さらには、地元浅口市の素晴らしさを学ぶなど、多くのことにチャレンジしました。このような、本校の特色ある学習活動を通して、自己啓発に努め、これからの新しい時代において活躍できる人材となるよう、三年間の教育課程を見事に全うすることができました。
また、本校の最大イベントである「鴨高祭」では、三年生がリーダーとなり、一年生から三年生までの四つの縦割りのブロックで、精一杯のパフォーマンスを披露してくれました。フィナーレでの表彰式では、それぞれの赤・青・黄・緑のブロックが、何かの部門で一位に輝き、ほとんどの生徒が涙を流し、見るものに感動を与えるシーンを目の当たりにしました。
ひたむきに、一生懸命に取り組むことで、「やればできる」という成功体験を生み、心の底からの感激の涙となって現れたと思っています。この経験こそが、今後、社会の荒波を乗り越えていく力になると私は信じています。
今、皆さんは、各自の未来に向かって飛び立とうとしています。皆さんの門出を祝うとともに、皆さんのこれからの活躍を祈念して、「自立した大人になる」ということを、餞(はなむけ)の言葉として、贈りたいと思います。
人はみんな、生まれた時、ルールやモラルを身につけている訳ではありません。保護者や地域の方などからの愛情を受け、「躾」や周りの方々の「生き方」をモデルにしながら、守るべきルールやモラルなどを身に付けていきます。ただ単に、「してはいけない」といわれたから「守る」、「しない」というのは、真の意味で身に付いたものではなく、様々な経験の中で、傷ついたり、後味が悪かったりすることで、覚えていくものなのです。学校生活では、皆さんの考えや行動が、大きな過ちにならないよう、様々な場面で、皆さんとともに考えることに努めてまいりました。
しかし、これからは、「何かをしてもらうだけ」の一方通行で頼る関係は、大人社会では通用しません。本当に「自立した大人になる」ということは、頼ろうとする甘い自分を認め、それを改めようとする姿勢ではないでしょうか。とても「勇気」と「努力」のいることですが、大切なのは、問題や課題に対して、常に「自分で考えること」を習慣づけることであり、決して「考える」ことから逃げないことです。そして、行動に移すことです。そうした姿勢を取り続けることが、「自立した大人になる」ということだと思います。
今後の皆さんの頑張りが、豊かな人生につながることを期待しています。
さて、保護者の皆様にとっては、お子様のこの三年間は、変化と成長が最も著しい時期であり、皆様の御労苦も並々ならぬものがあったことと拝察いたします。それだけに、本日は、喜びもひとしおのことと存じます。
改めて、心からお祝いを申し上げますとともに、お子様の在学中には、本校の教育活動の充実・発展のため、物心両面にわたり、多大なる御理解と御支援を賜りました事に、この場をお借りいたしまして、感謝申し上げます。
卒業生の皆さん、いよいよ出発の時です。皆さんの未来は皆さん自身が創るものです。これからは、健康に十分留意して、本校で身につけた自信と誇りを胸に、自分の夢に向けてたゆまぬ前進を続けてください。一人一人が充実した人生を歩まれることを、心から願っています。
結びに、保護者の皆様、御来賓の皆様の御健康と御多幸をお祈り申し上げ、卒業生の皆さんの未来に、幸多からんことを祈念し、式辞といたします。
平成三十一年三月一日
岡山県立鴨方高等学校長 石井孝典